希代の起業家を成功に導いた、正しい「失敗」の仕方 2つのユニコーンを生み出したユリ・レヴィーンに学ぶ
プロダクトは実際に使われ、顧客は戻ってくる。さて、あなたがそれよりもよいプロダクト、つまり完璧なプロダクトを作っているとしよう。
一番の課題は、乗り換えてもらうことだ。今使っているものが十分なら、ほとんどの人は乗り換えない。
俊敏性(アジリティ)は、社内の誰もが持つべきマインドセットだ。研究開発やプロダクト開発チームだけに限らない。
常に新たなことに挑戦し、それと同時に、失敗に備えることが必要だ。それは個人にも企業にも言える。起業家として最も重要な心構えは、非常にシンプルだ。つまり、「これを試してみて、うまくいくか様子をみよう」である。
なぜイスラエルは人口あたりの起業家数が多いのか?
失敗への恐怖は文化的なものでもある。失敗が許容されない国では、国民1人あたりの起業家数がほかの国より少ない。
例えば、失敗が許されるイスラエルでは、国民約1400人に対して1社のスタートアップがあるが、ヨーロッパでは2万人に1社だ。シリコンバレーも失敗への恐怖が小さく、人口あたりの起業家数が多い。
失敗への恐怖が大きな文化では、すすんで挑戦する人が少ない。だが、失敗への恐怖が小さな文化では、すすんで挑戦する人の数が増える。
計算式はとてもシンプルだ。失敗への恐怖と変化にともなうコストを足したものより情熱が大きければ、人は起業家への道を選ぶ。
私が育った家では、父にアイデアの話をすると、それがどんなに途方もないアイデアだったとしても、「試しにやってみようか?」と言われた。うまくいかなくても、白黒つけることはなく、ただ「何を学んだ?」と聞かれる。
そうした環境で育ったことで、失敗への恐怖は薄らいだが、それだけではなかった。