35歳でNTT辞め、たどり着いた野球とITの最先端 選手の進化をスポーツ科学で促すネクストベース

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「NEXTBASE ATHLETES LAB」ができてからの変化を、中尾社長はこう語る。

測定の様子(写真:ネクストベース)

「2022年の11月にプロ選手を受け入れてから1年ちょっとで100人以上の選手が来ました。前年オフから引き続いて来てくれている選手も多数います。

当初から西武の平良海馬投手に活用してもらっています。また他球団の若手投手もやってきました。そのときはまだ活躍していなかったのですが、データを測定すると『えっ?』という顔をして、徐々に腹落ちしていって、一気に伸びていき2023年は見違えるような活躍をしました。プロ野球選手の場合、成果がはっきり目に見える形で出てくるのがいいですね。

プロに並行してアマチュア選手や子供たちも来てくれていますが、今では2か月先まで予約が取れない状態になっています。結構強気の価格設定をしていますから、プロ野球選手たちが自分で支払う料金は、決して安いものではありません。でも、その対価を払ってでも、来てくれるっていうのは、ビジネスとしてはあるべき姿だと思います」

アメリカと日本の支援体制の違い

ただ、中尾社長はネクストベースの知見を、多くの野球少年と共有したいとも思っている。

「アメリカでは、MLBがアマチュア野球を支援する体制ができていて、お金がぐるっと回るようになっている。でも、日本ではプロはプロで止まっていて、アマチュアには回ってこない。そういう仕組みは、サッカー界にはある。

例えばすごい才能のある子供がいて、順調に高校や大学、そしてプロ選手になると、その選手の移籍金などの一部がそれまで所属したすべてのチームに分配される仕組みがあります。プロスポーツ選手が支払う税金がスポーツに限定されて活用される国もあります。日本でもそのような環境を作るべく、僕たちから変えていきたいですね」

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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