35歳でNTT辞め、たどり着いた野球とITの最先端 選手の進化をスポーツ科学で促すネクストベース

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神事努氏によるセッション(写真:ネクストベース)

神事氏は語る。

「バイオメカニクスの目的として主に3つあると考えています。投球/打球速度の向上、ケガの予防、そして好調時と不調時のデータ比較によるスランプ脱出です。球団にもアナリストやバイオメカニクスの専門家はいるのですが、彼らは1人で多くの選手をサポートしています。

でも、ネクストベースにはバイオメカニクスに精通したアナリストがいて、ストレングスコーチがいて、理学療法士がいる。彼らはみな『修士』の学位をもっていたり、現場経験の豊富なスペシャリストだったりします。そういうスタッフが選手個々の問題に向き合って解決し、選手が求める方向に進化を促しています。

動作分析は1回90分のセッションなんですが、選手との最後の話し合いにはアナリスト、ストレングスコーチ、理学療法士が全部入るんです。1人のアナリストがこう言っている、じゃなくて、ストレングスコーチの立場ではこう、理学療法士の立場から見ればこう、そして選手はこう感じている。そこから出てくる『化学反応』がすごく面白いんですね。だから各セッションがライブなんですよ。

もちろんここでの分析やトレーニングは有償です。ここに来る選手は個人でお金を払ってきています。だから、最初から何かを習得する気で来ているんですね」

自分のことを言語化できるようになる

トレーニングルーム(写真:ネクストベース)

データを活用して選手が進化するうえで大事なことは何だろうか?

「まず自分を客観視するのが大事なことです。僕は、選手に計測データをフィードバックするときに、筋肉の名前とか、関節の動きに関する専門用語とか、あえてちょっと難しい言葉を使います。これまでなら難しいからいいやってなったかもしれないけど、ここに来る選手は、この説明は、自分のパフォーマンスアップのために行われているんだから、とそこから勉強しだすんですね。

もっと理解を深めたいという選手たちが多いので『自分を知る』ということの”解像度”がめちゃくちゃ上がると思います。漠然とトレーニングして筋力をアップするとかじゃなくて、ここで練習の仕方であるとか、データの見方だとかも学んで帰っていると思います。だから結果が違ってくるんですね。

何回か通ううちに、僕たちと共通の言語でしゃべれるようになる。そうなると爆発的に自分を見る”解像度”が上がってくるんですね。そういう形で、自分のことを言語化できるようになっていくんです」

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