そんな「3000円ラーメン」の中心人物が、「あじ庵食堂」店主の江花秀安さんだ。
勘違いした人たちから、毎日のように嫌がらせの電話も入っていると言うが、それも織り込み済みだと言う。
衰退の危機にある喜多方ラーメンの、復活に向けて奮闘している、江花さんは何者なのか。ラーメン愛にあふれた人生を伺った。
客が来ない日々…老舗の大将たちが声をかけてくれた
「あじ庵食堂」は2008年8月8日にオープンした喜多方ラーメンのお店としては新しめの人気店だ。
店主の江花秀安さんは喜多方市出身で、会津若松にある洋食居酒屋でアルバイトをしていた。25歳のときに東京に社員旅行で来たときに、中野にある「中華そば 青葉」のラーメンを食べて衝撃を受ける。
昔から食べてきた喜多方ラーメンに似ているという感覚を受け、もう一度地元の喜多方ラーメンをひととおり食べ歩いてみることにした。ここから江花さんはラーメンの世界にのめり込んでいく。
ある日、コンビニで一冊の本に出会う。香川県にあるラーメン学校「大和麺学校」の校長・藤井薫さんの書いた本だった。この本を読んでラーメンを学んでみたくなり、江花さんは大和麺学校へ通うことになる。ここでラーメン作りのノウハウを学び、職人として歩み始める。
地元に戻り、ラーメン店で修業することも考えたが、自分の味で店を出したいという思いが強く、思い切って店をオープンすることにした。老舗の名店「上海」の隣の物件で、カウンター7席のみの小さなお店だった。
試食会をして知り合いに食べに来てもらったが、
「こんなものは喜多方ラーメンではない」
と口々に言われた。
麺学校で教えてもらった通りに作ると、スープがきれいになりすぎてしまい、喜多方ラーメンのじんわりとした旨味が出ないのである。
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