竹島(韓国名「独島」(トクト))と呼称問題(同「東海(トンヘ)」)を除けば日本海は平穏な海である。本書は広く太平洋やオホーツク海とのかかわりの中で日本海の歴史を追究したエッセーで、探検家の足跡を探りながら世界地図の旅へと読者を案内する。
17世紀のブランクスの地図には日本海とあるのに18世紀のモルによる地図では朝鮮海となっており、18世紀末に太平洋全域を航海したラペルーズは西洋人として初めて日本海を北上し地図上に日本海と記したが、高橋景保(かげやす)の精密な地図はなんと朝鮮海で太平洋側に「大日本海」とある、など興味深い事実が次々に登場して飽きさせない。
バルチック艦隊の大遠征も「海」にこだわるロシアが日本海を領海にしようとしたためだった。それにしても世界の海の中でこの海域はなぜ際立って平穏なのか。単純だが説得力のある答えが示されるが、日本海を前向きに生かしていくには歴史に学ぶ必要性にあらためて気づかされる。(純)
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