店は全壊でも被災地支援、シェフたちの「真意」 能登半島地震、シェフ仲間の「横のつながり」

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震災で池端さんの店は全壊。そこからかろうじて引っ張り出せた自前の食材を使っての炊き出しが震災の翌日からスタートした。現在は食材こそ各方面から潤沢に届いているというが、池端さん自身は今も、輪島市内の施設でボランティアでの炊き出しに従事している。

炊き出しをする池端隼也さん
炊き出しをする池端隼也さん(写真:重蔵神社提供)

石川県七尾市のイタリアン「ヴィラ・デラ・パーチェ」のシェフ平田明珠さんも、震災直後から1月末まで、炊き出しをはじめとしたサポートを行っていた。場所は店から車で10分、市が避難所として開設している市立中島小学校だ。

平田明珠さんやスタッフのみなさん
七尾市で炊き出しをしている平田明珠さん(前列左端)や「ヴィラ・デラ・パーチェ」のスタッフ、避難者・ボランティアの皆さん(写真:平田明珠さん提供)

海岸沿いの平田さんの店舗は幸いにも津波の被害をまぬがれ、建物自体にも大きな損傷はなかった。断水も2月末には解消され、営業再開に向けて動き出している。

アメリカ本部のボランティア団体も支援

料理人である彼らが、みずからも被災しているにもかかわらず、ボランティアで炊き出し業務を引き受けているのはなぜだろうか。

「あの環境で自分ができることってなんだろうと思って、僕ができることは料理なので、この町に住んでいる人間として単純に何ができるか考えた結果です」(平田さん)

彼らは自分の店の再建よりも被災者のサポートを優先し、避難所での炊き出しを選択している。しかも最初の支援物資が届く前には、自分の店に保管してあった営業用の食材を最初の炊き出しに提供してもいる。

「最初は寄せ集めですよ。食材も自分の店に正月営業用に買ってあったものを使って、あとは近くの農園さんや干物屋さんがもう売れないからと食材を提供してくれました。

そのあと1月4日に輪島に来てバックアップしてくれたのがワールド・セントラル・キッチン、アメリカに本部があるボランティア団体です」(池端さん)

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