被災地の便乗ごみや避難ごみ、清掃職員のリアル 浮かび上がる「清掃サービス」提供の課題

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被災地に存在する物資を支援者が使わないように、金沢市内でガソリンを満タンにしていくなど、収集に関わる物資はすべて調達してから現地へ。

ほとんどは簡易トイレの「汚物」

金沢市を朝5時に出発し、震災の爪痕が残る道を通りながらスマートフォンのナビを利用して約3時間かけて輪島市に到着した。

 朝焼けの中、被災地に向かう
朝焼けの中、被災地に向かう(写真:金沢市従業員労働組合提供)
亀裂の入った道
亀裂の入った道(写真:金沢市従業員労働組合提供)
清掃車から見える被災の爪痕
清掃車から見える被災の爪痕(写真:金沢市従業員労働組合提供)

到着後は市内の避難所を回り、「避難ごみ」を収集していく。

清掃車のタンクがいっぱいになると付近の清掃工場に積み下ろし、再度避難所に向かいたいところだが、被災した清掃工場は稼働していない。そのため収集したごみは持ち帰り、金沢市内の清掃工場に搬入せざるを得なかった。

移動に多くの時間が取られるため現地作業が1時間半程度に限られるうえ、1日に清掃車のタンク1杯分しか収集できない状態だったのだ。

一度に少しでも多くのごみを収集するために、当初は輪島市へは6㎥の清掃車(最大積載量2.4t)と4㎥の清掃車(最大積載量2t)で向かった。しかし、6㎥車では入れない幅の道や4輪駆動でなければ通行できない道があって通行できず、持ち込んだ清掃車を稼働させられなかった。

翌日からは4㎥車2台体制に切り替えて収集作業を行った。これにより1日あたの収集量はいっそう減少し、収集に向かう避難所の数も限定的となった。

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