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ライフ #ごみ収集の現場から

被災地の便乗ごみや避難ごみ、清掃職員のリアル 浮かび上がる「清掃サービス」提供の課題

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  • 藤井 誠一郎 立教大学コミュニティ福祉学部教授
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収集した避難ごみを清掃車に積んだ状態。適当なところで投入を止めないと汚物が飛び散る(写真:金沢市従業員労働組合提供)

さらに、避難所から排出される「避難ごみ」のほとんどは、避難所で暮らす方々の簡易トイレ後の汚物(し尿)だった。

凝固剤のためか臭いはそれほどしなかったが、汚物を清掃車に入れて積み込んでタンクが詰まってくると、プレスした際に跳ね返りが飛び散る。

そのため適当なところで積み込みを止めなければ、清掃職員が汚物をかぶってしまう。この制約からも1台あたりのごみの収集量はさらに限定的となった。

ちなみに、話を聞いた清掃職員とともに作業した人は、汚物が飛び散って作業着についてしまった。その場で作業着を処分したそうだが、水が出ない状況で万が一顔面などに付着していたらと思うと、ぞっとする。

受援に欠かせない「正確な」現場情報

被災時に支援を受けるには、「何が不足しているか」の情報のみならず、支援を受ける現場の状況について情報提供しなければ、支援側のオペレーションを無駄にしかねない。

そのためには、提供しているサービスの実態を普段から十分に把握しておくことが前提となる。

ごみ収集業務で言えば、行政改革による公務員減らしで収集業務を民間会社への委託に切り替えた自治体は業務を「丸投げ」しているところが多く、現場の実態の把握が十分にできない状況に陥っている。

そのような中で支援をお願いするとなると、どのような情報を伝えれば支援側が現場でスムーズに支援活動を展開できるかのイメージがつかない。よって、実際に支援する自治体関係者が現場で実態を把握したときに、「それを先に言っとけよ……」という言葉が漏れる事態が起こる。

このことはすなわち、必要な支援が迅速になされないことを意味し、その損失は被災者にふりかかる。

これまでの公務員減らしの行政改革は、提供する公共サービスの実態や、その提供現場の状況をしっかりと把握しておくことに目を背けてきたと言える。

今回の能登半島地震を他山の石として、自らの自治体の公共サービスの実態を現場レベルから把握しておく体制を構築していくことが、今後の行政改革の論点になると思われる。

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