被災地の便乗ごみや避難ごみ、清掃職員のリアル 浮かび上がる「清掃サービス」提供の課題

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能登半島地震で、震源域から離れた金沢市内でも局所的に災害廃棄物が発生する地域が出た。そのため金沢市は被災直後の対応として、1月5日から14日まで市内の戸室新保最終処分場に仮置場を設置し、災害廃棄物を受け入れた。

金沢市は担当業務のやりくりで人員をひねりだし、その管理・運営にあてた。

当然のことながら、仮置場は災害廃棄物を持ち込む場所なのだが、ほとんどの災害廃棄物を無料で引き取っていたため、「いつか使うかもしれない」と物置等にしまい込んでいた退蔵品を、ここぞとばかりに搬入する「便乗ごみ」問題が生じた。

災害とは関係のない「便乗ごみ」も

このような「便乗ごみ」が搬入されるのもわからなくはない。

金沢市では、家具・寝具類、趣味・スポーツ・レジャー用品等は「有料粗大ごみ」に該当する。これらを排出するには、電話またはLINEで事前に申し込みを行い、指定された金額の処理券をコンビニエンスストア等で購入。予約内容通りに処理券を貼って排出しなければならず、手間がかかる。

そのため仮置場が設置されると「退蔵品」排出の格好の機会となってしまうのだ。

また、仮置場には、事業者責任で処理すべき産業廃棄物も持ち込まれることがある。自らで処理すると費用がかかるため、災害廃棄物だと偽って仮置場に持ち込むのである。

今回の仮置場では陶器、ガラス、石、瓦、コンクリート製品、木製品(タンス、椅子、生木)、金属・小型家電類、家電4品目(テレビ・洗濯機・エアコン・冷蔵庫)を中心に受け入れたが、筆者が話を聞いた清掃職員の方によると、ほとんどが災害とは関係のない「便乗ごみ」だったという。

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