だからエヌビディアは強い
――過去40年以上、そうそうたる企業で半導体を開発してきました。半導体産業を深く知るあなたから見て、今の業界王者であるエヌビディアの強さとは?
AIがもたらす半導体需要の「先行者利益」をつかんだことだ。ではなぜ先行者になれたのか? 技術的にはいろいろあるが、詰まるところは創業者ジェンスン・フアンの手腕だ。
私はテスラにいた当時、ジェンスンと何度か会っている。テスラはエヌビディアの顧客だからね。彼は頭が良く、そして挑戦心が旺盛な人間だ。彼の挑戦はつねに成功したわけじゃない。モバイル用のチップはうまくいかなかった。モデムチップへの投資も失敗した。ゲーム機もだめだった。
そういう数々の挑戦の一つが、高速コンピューター(HPC)用のGPU(画像処理装置)だった。
今でこそAI需要でHPC用の半導体は急成長しているが、彼が投資し始めた当時はこの市場がここまで大きくなるとは誰も思っていなかった。「GPUをHPCに使うなんて時間の無駄」という外部の声にジェンスンが耳を傾けていたら、エヌビディアが先行者利益を得ることはなかった。
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