「伝説のエンジニア」が明かすエヌビディアの死角 ラピダスや孫正義氏の半導体戦略はどう見る?

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――栄枯盛衰が激しい。

緩やかに衰退するか、突然消えるかの違いはあっても、あらゆる独占企業が消えた。そういう世界だ。

私たちは今、多忙を極めている。製品を出荷し、事業規模を本格的に拡大するフェーズだからだ。日本では今年、開発拠点を開く。エンジニアを採用中で、入居する不動産を物色しているところだ。開設時期はまだ言えない。

私自身は資金調達モードだ。日本の投資家とも会っているよ。

――将来的には上場しますか?それともOpenAI(マイクロソフトが出資)のように、ハイテクガリバーの傘下に入る?

上場するよ。2年後がターゲットだね。そのときには本当に大きな数字(時価総額)を出すつもりだ。

孫正義の野望は「金では実現できない」

――日本ではソフトバンクグループの孫正義氏がAI半導体のスタートアップを作ると報じられています。中東などから巨額の資金調達をするとか。

知っている。しかし実のところ新しい半導体を作るためにお金で解決できることは少ない。ある技術が巨額投資さえすれば掌握できるなら、それはもはや陳腐化した技術だ。そんな技術を使った事業には、巨額投資に見合う付加価値はない。

AIコンピューティングと半導体の技術は、これから10年で大きく変化する。そのインパクトは甚大で、インターネットがもたらした影響をも上回る。この激変局面でカギを握るのは、お金よりも人だ。

――人材が勝敗を左右する?

そうだ。チームは小さくていい。私がテスラで自動運転用の半導体を開発していたとき、チームはわずか50人ほどだった。むしろ小さい所帯のほうが私は好きだ。

大事なのは、リーダーに極めて明確な目標があること。その目標を何度も繰り返し、チームに説くこと。1人1人が何をすべきか心底理解させること。そのためには、真の専門知識が不可欠だ。

そして最も重要なのは、チーム全体のエネルギーを高め、全員が勝者のように振る舞うようにすることだ。これが難しい。人間は実に面白い。自分が勝者だと思えば勝つし、逆に負け犬気分ならひどい振る舞いをする。スポーツでは負け癖のついたチームは勝てないだろう?

私がアップルで働いていたときは、チームの誰もが「われわれは最高だ、われわれは勝者だ」と感じていたものだ。

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