汚部屋育ちの40代が苦手な「掃除」と和解するまで 植え付けられた苦手意識はあえて「克服しない」

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家を掃除してほしいなと思うのですが、それを口にするのははばかられます。「お母さん掃除機かけて」などと言おうものなら、母はとたんに不機嫌になり「あんたは友達に嫌われる性格をしている。いじめに遭うのは自分にも責任がある」とか細かなエピソードを交えて過去のトラブルをほじくり返され、人格否定をされるばかりで掃除機はかけてもらえないのです。

父(ようやく登場)も何度も掃除をするように言うのですが、そのたびに何十年も前の浮気話を持ち出して「あのとき、私がどんだけ傷ついたかわかってんの!?」と責め立てます。そしてもちろん掃除機はかけてもらえないのです。

「なら自分たちで掃除機をかけろよ」という声が聞こえてきそうですが、掃除機に触れようものなら「今度かけるから触るな」と牽制され、また母が不機嫌になるだけ。そもそも掃除機は、収納にしまいこまれており、出すためには扉の前に積まれたものをどかす必要があるため、母に見つからずにことを成し遂げるのは不可能に近かったのです。

結局我が家は、父がカーペットクリーナーを買ってきて、自分たちの座るゾーンと洋服だけは、粘着テープをコロコロして髪の毛を取るという、消極的な方法で解決に至り、母親の不機嫌のトリガーとなる掃除機は、御禁制の品として祠ならぬ収納の奥に、ほこりをかぶってたたずみ続けました。

苦手を克服するよりも、向き合わない努力をしよう

ロボット
ロボットは床置きせず、キャスター付きの台の上に置いて、掃除の際に移動させる手間を軽減しました(筆者撮影)

母を反面教師に家事が大好きな大人に育ったかと言うと……、まったくそんなことはありませんでした。

子供時代にろくに歯磨きせず育てられたため、唯一歯磨きだけは大好きに育ちました。乳歯が虫歯だらけで痛い目をみたため「歯が生え替わったら、絶対大切にしよう」と心に誓っており、歯だけは今でも執拗に磨くのですが、それ以外の衛生観念は母譲りのゆるさで、掃除も苦手なままです。

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