これらがどう関わっているかというと、あくまでも仮説だが、次のような状況が考えられるという。
①冷えによって筋肉も冷えて硬くなる。可動域(筋肉の動く範囲)が狭まるので、体を動かしたときに負荷がかかって、腰を傷めてしまう。
②腰まわりの血流も低下する。①で生じた筋肉の負傷によって作られる炎症物質が、いつまでもそこにとどまるため、痛みが残りやすい。
③冷えがあると疲労物質の乳酸も作られやすい。乳酸は神経や血管を圧迫するため、痛みが強まったり、長引いたりする。
さらに、冷えと自律神経の乱れも密接にかかわっている。
自律神経には、緊張しているときに優位になる交感神経と、リラックスしているときに優位になる副交感神経がバランスよく働くことで、環境にうまく対応している。
暑いときに汗をかくように体に指令を出す(発汗により体温が下がる)のも、寒いときに末梢の血管をキュッと縮めて体内の熱を外に逃がさないようにしているのも、自律神経の体温調節の働きによるものだ。
「ところが、寒暖差が大きいと自律神経のバランスが乱れてしまうため、こうした対応がうまくできにくくなる。その結果、冷えが生じ、腰痛をもたらす要因となるのです。加えて、冷えによって交感神経が優位になると、筋肉が緊張する。これも腰痛をもたらす要因の1つになっています」(久手堅さん)
デスクワークで座りっぱなしの人は要注意
では、どんな人が寒暖差腰痛になりやすいか。久手堅さんは「女性、運動不足の人、ストレスが大きい人、デスクワークで座りっぱなしの人」を挙げる。
「女性は月経周期もあり筋肉量も比較的少ない。そのため冷えやすく、気象の変化で不調が出やすい。運動不足の人も筋肉量が足りないので、冷えやすいのです。過度なストレスも体に緊張をもたらし自律神経のバランスの乱れを引き起こすので、よくありません」
そのなかで今、久手堅さんがもっとも問題視しているのがデスクワークだ。
「デスクワークに関しては、座っているときにかかる骨や筋肉への負担は、立っているときよりも大きいとされ、屋外で肉体労働をする人よりも腰痛になりやすいというデータもあります」(久手堅さん)
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