3浪早大「一族から大卒者を」親の期待に抱く葛藤 福岡県の名門高校「修猷館」に進学したが…

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現在も波瀾万丈の人生を毎日楽しく過ごしている澤木さん。彼に浪人してよかったことを聞いたところ、「勉強はやるか、やらないかだけの違いだとわかったこと」、頑張れた理由については、「勉強しかすることがなかったから」と語ってくれました。

「僕は浪人を通して、何事もやってみれば、人並みのことはできるだろうと思えるようになったと思います」

濱井正吾 浪人 新橋串揚げの店 夏色 修猷館
夏色には修猷館のTシャツも飾ってある(写真:澤木さん提供)

今でも、進級・卒業できないと言われていた高校時代・大学時代の夢は見るものの、「浪人時代の夢は見たことがない」と語る澤木さん。この出来事からも、彼にとって浪人生活は、大変だったけれども充実した日々だったことがうかがえます。

飲食の仕事にも生きている

そしてこの当時の経験は、東日本大震災の際に炊き出しに行ったことがきっかけで始めた現在の飲食の仕事にも生きていました。

「いま、自分は10時に家を出て家に帰るのが夜中の3~4時というハードな生活を送っています。でも、ストレスはありません。人の役に立ててやりがいを感じられる仕事ができているからというのもありますが、浪人時代と同じような生活だからなのだと思います。だから浪人を経験していて、よかったと思います」

限界を超えた努力で偏差値を30上げ、私大最難関に合格した澤木さんの浪人経験は、まさに「やればできるようになる」ことを教えてくれました。

澤木さんの浪人生活の教訓:本気で取り組めば、人並みのことはできるようになる
濱井 正吾 教育系ライター

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はまい しょうご / Shogo Hamai

兵庫県出身、1990年11月11日生まれ。「9浪はまい」のニックネームでTwitterやYoutube、テレビ出演などを行っている。大阪産業大学経済学部経済学科に入学後、龍谷大学経済学部現代経済学科に編入学し、卒業。 高校時代にいじめを受けたことから、いじめっ子を社会的に偉くなって見返したいと思い、在学中から仮面浪人として受験勉強を4年間続ける。大学卒業後、証券会社に契約社員として就職したが10日で自主退職、同月中に配置薬会社に再就職。昼は会社、夜は予備校という生活に。同社退職後は受験勉強に専念し、9浪で早稲田大学に一般受験で合格し、2018年に教育学部国語国文学科入学、2022年卒業。現在はカルペ・ディエム所属。

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