「人と話さない」と"記憶系"の働きが鈍くなる脅威 脳を活性化させるためにいますぐできる対策は

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なぜかというと、そこに記憶をつなぎとめる「言葉」が介在しないからです。

電車に乗っていると、誰もがスマホだけを無言で見つめています。あれだけ大勢の人がいるのに、周囲のことはまったく気にもとめません。スマホの中で繰り広げられる世界だけに、一言もしゃべらずに没頭しているのです。

脳は眠っている状態

もし彼らの脳内を診断したら、きっとワーキングメモリの「思考系」と「理解系」以外の脳はほとんど働いていないはずです。まさに眠っているような状態ではないでしょうか。

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ここで、脳を活性化させることができるのが、「言葉」です。

本来ならスマホの情報をもとに、周囲の人と感想を言い合ったり、雑談すれば記憶に結び付くわけです。でも、電車の中ではそれもできません。

そこで、ひとり言の出番です。スマホを見ながら何かしらひとり言をつぶやいてみるのです。声に出すのがはばかられるのであれば、頭の中で言うのでも構いません。

海馬は、言葉に刺激されます。すると「記憶系」が働き出し、脳がようやく働き出すことができるはずです。

加藤 俊徳 医学博士/「脳の学校」代表

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かとう としのり / Toshinori Katou

脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。脳科学・MRI 脳画像診断の専門家。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科で脳画像研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。加藤式MRI 脳画像診断法を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。得意な脳番地・不得意な脳番地を診断し、脳の使い方の処方を行う。『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)など著書多数。

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