息の詰まる職場・職場の閉塞感はどこからやってくるのか?(第3回)--バブル期入社世代の閉塞感
須藤: おまえも随分つまんないこと言う奴になったな。本部に異動したせいか(笑)。
景山: 本部に来てまだ6カ月だよ。
須藤: だいぶ慣れたか?
景山: 支店に比べると仕事のやり方がだいぶ違う。それに人事も初めてだし、戸惑うことだらけだよ。
須藤: まあでも、念願の本部勤務だし、踏ん張り時なんじゃないの。おまえは同期の星だしな。
能天気な須藤の励ましを聞きながら、景山はつい無口になっていた。本部の人事部に来てからは、それまで知らなかった会社の裏側や矛盾を見せつけられることが多くなった。先週の人事部会議では、ポストに就けないバブル期入社社員をどうするかという話が出ていた。かえで銀行は30~40代の人数比率が大きく、管理職への平均昇格年齢はこの5年でかなり高齢化しているそうだ。
また、管理職に昇格しても実態としては一プレーヤーにすぎない「担当課長」があふれている。さらに今後は、担当課長にすらなれない人が増えていくという。上司の覚えがめでたくない須藤のようなタイプはその危険が高いだろう。そんなことを考えているところに、須藤が話しかけてきた。
須藤: うちの上司がさあ・・・。そろそろ管理職に上げてやるから頑張れって、恩着せがましく言ってくるんだ。正直ごめんだよ。
景山: 何で?
須藤: 俺はずっと現場に出ていたいんだ。人を育てろとか言われても、若い人間が何考えているかわからないし、なんか話をしても面白くないんだよね。
景山: 言いたいことはわかるような気がする。