息の詰まる職場・職場の閉塞感はどこからやってくるのか?(第3回)--バブル期入社世代の閉塞感
須藤: 同期の山本、知っているよな。あいつ去年、広島支店の営業課長に昇進したんだが、途端に調子崩して今は長期休業中らしいぜ。体壊してまで偉くなりたかないね。
景山: おまえは本当に変わらないな。
景山は須藤の割り切った考え方をうらやましく感じていた。景山は同期の中でも早く昇進してきたほうだが、組織の階層を登るたびに心身を削るような思いをしてきた。かといって、ここであきらめるわけにもいかない。この半年は慣れない本部の組織の中で苦闘する毎日である。
最近では、自分が本当にやりたかったことは何だったのか、何のためにこれまで頑張ってきたのか、正直わからなくなってきた。家族とうまくいっていないことも一因なのかもしれない。
須藤: どうせ俺みたいな人間は50代になる前に関連会社に出向になるだろうから、そのときはどこか気楽な職場を紹介してくれよ(笑)。
景山: そんな受け身の姿勢じゃ自分に合ったキャリアをつくれないぞ。
須藤: 今日の研修講師みたいなこと言うなよ・・・。
本稿では、バブル世代の対照的な2人の社員を紹介してきた。今後のキャリアの可能性という意味では、須藤のほうがより閉塞的な状況にある。上司の温情で課長になれたとしても、それ以上の昇進は期待できない。本人もそのことを認識しているが、どこか楽観的である。
一方、景山のケースはキャリアの可能性としては開けているが、本人は閉塞感を強く感じているようだ。