埼玉大学「2年前と全く同じ問題を出題」の衝撃 どんな内容だったか、同じ問題出した意図とは

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実は過去にも、似たような事例はありました。東京大学の日本史の問題で、以下のような問題が出題されたことがあったのです。

次の文章は、数年前の東京大学入学試験における、日本史の設問の一部と、その際、受験生が書いた答案の一例である。当時、日本史を受験した多くのものが、これと同じような答案を提出したが、採点にあたっては、低い評点しか与えられなかった。なぜ低い評点しか与えられなかったかを考え、(その理由は書く必要がない)、設問に対する新しい解答を5行以内で記せ。(1983年度第1問)

同じ問題に対する答えを書かせる、という点では、今回の問題と同じです。そのうえで、ご丁寧に「採点にあたって低い評点を与えた答案」が添付されていました。

大学側にとって入学試験は、「受験生のそれまでの努力や知識量・能力を測るもの」ですよね。そう考えると、大学側として「いい入試問題」とは、「それまでの努力や知識量・能力に応じて、解ける人と解けない人がはっきり分かれる問題」だと言えます。

きっと、今回の埼玉大学の問題も、1983年の東京大学の問題も、「解ける人と解けない人がはっきり分かれた問題」だったのではないでしょうか。

埼玉大学は入試過去問題活用宣言に参加

なお、今年度の埼玉大学の入試要項には、『本学は、「入試過去問題活用宣言」に参加しており、個別学力検査において、本学だけでなく「入試過去問題活用宣言」参加校の過去問題を利用する場合がある。』との記載がありました。

「過去問とまったく同じ問題が出題された!」とSNSでは話題になりましたが、埼玉大学は事前に入試要項でも記載しており、それに則って出題したのだと思われます。

さて、多くの人は「過去問を解いている人が有利になる試験を出題していいのか?」という疑問もあると思います。

過去問を解いていない人が不利になるから、不平等じゃないか?と。しかし、塾や予備校が予想問題をたくさん作り、毎年「どれくらい的中したか」がネット上で情報として公開されている現代において、「一般試験における平等性」というのはどこまでいっても担保し切れないものです。

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