いつも目にしていたテレビCMの裏に、かれこれ60年の歴史が連なっていたことを今の若い方たちが知ったら、きっと「へぇー」と驚くのではないでしょうか。
ところで、『てなもんや三度笠』といえば、「あたりまえだのクラッカー」という、一大流行語を生んだことでも知られています。
日本中を笑いの渦に巻き込んだこのお化け番組のスポンサーは一社提供で、前田製菓というお菓子メーカー。
毎回、生コマーシャルの体で、主演の藤田まこと(浪人:あんかけの時次郎役)が商品を手に出てきて、「俺がこんなに強いのも、あたりまえだのクラッカー」と見栄を切る――。
日曜日の夕食どきにあたるベストタイムもあいまって、このフレーズはたちまち全国に広まっていきました。
大人も子どもも、「当たり前だよ」と言いたいときには、こぞって「あたりまえだのクラッカーさ」と返したといわれ、その言葉が相当な数の日本人の頭にすり込まれていったことは想像にかたくありません。
ひょっとしたら今なお年配者の中には、このフレーズを口にしている方もいるかもしれません(つい出てしまった場合や、ふざけて言ってみせた場合も含めてですが)。
洒落や語呂合わせ…「旧い言葉」は面白い
じつは先日のこと。
とある広場のベンチに腰掛けていたら、すぐそばで高校生数人がスナックの袋から中身を取り出しながら楽しそうにおしゃべりをしていました。
そのときふと、何気なく袋の表面に目がいったのでしたが、そこにはなんと『あたり前田のクラッカー』という商品名がくっきりと!
彼、彼女らはおそらく名前の由来を知るべくもないでしょうが、いまだそのフレーズが商品とともに脈々と生きていることに、驚きを超えて感動すら覚えてしまいました。
世代間のコミュニケーション・ギャップが問題にされるとき、若い人たちからは、旧い人々による何だか変な口癖や、よくわからない言い回しがある、と言ってきます。
適当にスルーはしているけれど、あれはどう反応すればいいのか、などと。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら