「あたり前田の〜」「キムタク」耳に残る言葉の秘密 日本人の記憶に長くとどまる「3拍・4拍」の法則

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余談ですが、NHKのテレビで『今夜も生でさだまさし』というタイトルの番組があるでしょう。

あれもまた「7拍・5拍」になっているので、より耳に残るのですね。

「言葉の生き残り力」に目を向けて

ちょっと前になりますが、21年の「egg流行語大賞」を取ったのは「きゃぱい」という言葉でした。

若い女の子たちが最も頻繁に使った言葉ということで、「キャパシティいっぱいいっぱい」を縮めての「きゃぱい」。

すなわち焦ったりして「テンパってる」状態を意味するのだと。

しかし、現在、この言葉は巷でどれほど使用されているでしょう?

「やばい」「エモい」「エグい」「ぴえん」「草」……などなど。

若い人の言葉は、機をとらえるのに敏感で、新しい言葉を作るのも巧みですが、それらは果たして将来の日本社会にいくつ残るのか、と考えると、正直言って心もとない気がしてなりません。

もちろん言葉は生き物ですから、旧い人々が馴染んできた言葉も、やがていつかは消えていってしまう可能性はあります。

でも、せめて現在、年配者が口にしているいろいろな言い回しについて、若い人たちに改めて関心をもってもらえたら、と思うのです。

ウイットに富んだたとえ、思わず頬が緩んでしまいそうなユーモア、日本人だからこそ味わえる日本語の奥深さを、ぜひ味わってみてほしいです。

若者は年季の入った言葉の妙に感心し、そして年配者は若者の言葉作りの軽やかさに着目する……。

そんな気持ちの交換こそが、ギャップ解決の近道になるのではないでしょうか。

若者言葉とシニア言葉。あたかも異国語のごとく、互いにスルーし合ったままでは、コミュニケーションの溝はますます深まるばかりなのですから。

【ことわざの4音節化の例/意味】

●「棚からボタモチ」→「棚ボタ」……何もしていないのに、思いもかけない幸運が舞い込んできた
●「駄目で元々」→「駄目元」……失敗するとは思うけれど、うまくいけばもうけもの、と考えて試みること
●「藪をつついて蛇を出す」→「やぶへび」……余計なことをしたばっかりに、思わぬ禍を招いてしまうこと
●「鴨がネギをしょってくる」→「鴨ネギ」……うまい話に、なんとさらにうまい話が重なってきた。ますますこちらの都合がよくなる展開に
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