「目の前でシェフが焼いてくれる天板焼きのお店に来たのは、久しぶりですよ。この間、今仕事をしているクライアントさんに、フレンチの○○に連れていっていただいて、ご馳走になったのだけれど、とても有名なお店だそうですね。食に興味がない僕にとっては、ファミレスで十分だったんですけどね」
(だから、こんな高級鉄板焼き店で食事をする意味はない)と皮肉ったつもりだったのだが、それを聞いた、きみえの声が色めきたった。
「○○に行ったんですか? 私、一度あそこで食事をしてみたかったんです!」
それを聞いて、「じゃあ、今度機会があったら行ってみますか」と、軽い気持ちで言ってしまった。
すると、翌日には「○○には、いつ行きますか?」というLINEが来た。「私は、時間も予定も合わせられると思います」。
高級フレンチ「行きたい!」
なんだかあまりいい気持ちがせず、「今、仕事が立て込んでいるので、またご連絡を入れますね」と流すような内容を返信したところ、そこから毎日のように、「お仕事はいかがですか? 落ち着いたら○○にぜひ行きましょう」と、LINEが来るようになったという。
たかゆきは、筆者に言った。
「僕に会いたいのか、○○に行きたいのか。"行きたい圧"がすごくって、なんだかうんざりしてきました」
結局、次のデートはきみえのリクエストを無視して、「こちらのお店を予約したので、行きましょう」と、平均的な値段のお店を伝えたという。そこにやってきたきみえは、終始不機嫌で、そのデートが終わったあとに彼女から交際終了が来た。
「僕も交際終了を出そうと思っていたので、ちょうどよかったです」
たかゆきは、ホッとしたような声で筆者に言った。
さえ(35歳、仮名)が見合いし、交際に入った、たかひさ(47歳、仮名)は、開業医だった。
「年齢が一回り上だけれど、お医者さんなら定年もないですし、お体が元気なら70代になっても働けるので、お会いしてみようかと思います」
そう言ってお見合いに行き、そこから仮交際に入った。ところが、交際に入って3週間が過ぎた頃、さえから「相談したいことがあります」と連絡が入った。
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