「自分の望みを叶えてくれる、イコール、それだけ自分のことを大切にしている、と思っているんじゃないですかね。かぐや姫じゃあるまいし。無理難題な要求を言って、それを叶えてくれる男を選ぼうとしている気がしました。確かにあの美貌ですから、若いときはそれが通ったかもしれないけれど、もう38ですよ。男にいつまでもチヤホヤされると思ったら大違いだし、あんな女性と結婚したら先が思いやられますよ」
かなり頭に来ていたのか、言葉も辛辣だった。そして、この2人は交際終了となった。
4000万円稼ぐ男性の「困難」
たかゆき(54歳、仮名)は、年収4000万円の自営業のバツイチだった。20代の頃、若くして結婚。仕事の業績も右肩上がりで、順調に業績を伸ばしていたのだが、リーマンショックで大打撃を受けた。
その後はなりふり構わず事業を立て直すことに必死になったという。しかし、資金繰りに四苦八苦していたときに夫婦仲は冷えていき、それが離婚につながった。
業績が回復した頃には、40代半ばを過ぎていた。気持ちにも余裕ができたので再婚を考えるようになったのだが、普通の生活ではなかなかいい出会はない。そこで、結婚相談所での婚活をスタートさせることにした。
結婚したい一番の理由は、「子どもがほしい」からだった。
一般的にいえば、50代半ばの男性が子どもを授かれる年齢女性と結婚するにはとても難しい。だが、たかゆきは年収が飛び抜けて高かったので、30代後半の女性ともなんとかお見合いを組むことができていた。
ところが、いくつかのお見合いを終え、何人かの女性と交際をした後に、たかゆきがこんな感想をもらした。
「ケチるつもりはないのだけれど、交際に入ると皆さんが、食事をするのに高級店ばかりを指定してくる」
その理由はこうだった。
「僕はごく普通の家に生まれ育って、1代でここまで築き上げた。それこそどん底を経験したときは、食費をできるだけ切り詰めた。僕にとったら、回転寿司も高級寿司も同じ寿司なんですよ。味が一緒とはいわないけれど、寿司に3万円、4万円払うのはもったいないと思ってしまうんです」
先日交際に入ったきみえ(39歳、仮名)も、最初に指定してきたのは、1人2万円の鉄板焼きのお店だったという。
その食事をしながら、たかゆきはきみえに言った。
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