「女性に振ってもらう」作戦
結婚相談所では、お見合いの結果や交際に入ってからの交際終了は、相手に直接伝えるのではなく、相談室を介して伝えるというルールがある。
これは、面と向かって言いづらいし、言われた本人も傷ついてしまうので、相談室でワンクッションを入れることによって、気まずさをなくすことから設けられている。
お見合いの結果に関しては、2人の間ではまだ人間関係ができていないので、交際希望か交際辞退かは、比較的迷うことなく出せるだろう。
ところが、交際に入って2度、3度会うと、交際終了を出すときに、“相手に悪いな”という気持ちが働くようになる。女性は、“この人は結婚相手ではない”と思うと、容赦なく交際終了を出す傾向にあるのだが、男性は、振るよりも振られるのを待つ人が多い。
はるひこ(32歳、仮名)は、国立大卒で、安定した会社の正社員で収入もよい。多少ふくよかな体型ではあったが、平均以上にお見合いが組めていた。また、コミュ力があって、お見合いをすると交際希望をもらうことが多かった。
お見合いが組めるので、いつも複数の女性と仮交際をしている状況なのだが、あるとき仮交際をする女性が4人になったことがあった。そこで、私はこんなアドバイスをした。
「1つひとつの出会いを大切にしていかないと、結婚までたどり着けませんよ。はるひこさんの体は1つしかないのだから、これ以上仮交際のお相手を増やさないほうがいいですね。新しいお見合いはいったんストップして、まずはこの4人と向き合って結果を出しましょう」
はるひこのなかでは、2度ほど食事をした時点で、4人のうちの2人については“結婚相手としては違うかな”と感じていたようだ。ところが、自分から交際終了を出そうとしなかった。
「さえさん(29歳、仮名)には、この間お土産をいただいてしまったし、ゆうみさん(27歳、仮名)とは、デートの別れ際に次に会う約束をしてしまったので……」
なんとも歯切れが悪かった。そして、こんなことを言ったのだ。
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