83歳証券会社会長が語る「バブルとの決定的違い」 岩井コスモ証券・沖津会長インタビュー
──今回の高値更新も海外マネー主導と言われています。日本の証券会社として寂しさのようなものを感じませんか。
グローバル化した今日、それが普通だと受け止めている。お金の世界には国境がない。嗅覚が鋭いので、儲かるものへワーッと集まり、だめだと判断したらサーッと出ていく。
企業においても、日本の大手が海外資本の傘下になっても構わないと思っている。日本人がそこで働けて、きちんとした経営をしてもらえて発展していけるなら、それでいいというのが私の考えだ。
あの時代に戻ってはいけない
──証券界を取り巻く風景も、この34年で変わったのではないでしょうか。作為的に相場を形成していく「仕手筋」も跋扈(ばっこ)していました。
今、高揚感を感じないのは、そういう人たちがいなくなったこともあるのかもしれない。
バブル当時は仕手の旗振り役や仕手に群がる人たちがいて、お金が乱舞していた。仕手筋を証券外務員に雇ったり、仕手株を勧めたりする証券会社まであった。この辺(兜町)には証券担保金融、いわゆる街金(まちきん)の看板がいっぱい上がっていた。
テレビ東京の『ワールドビジネスサテライト』が街金特集をやったときに取材のコーディネーターをしたことがありますよ。キャスターをやっていた頃の小池百合子・都知事が来た。
今は実体に基づいた、裏づけのある株価形成がなされている。郷愁はあるけれども、あのような時代に戻ってはいけない。仕手株はだまし合い。一部の人だけが儲けて、多くの人は高値づかみ。犠牲者がそうとういたはず。