83歳証券会社会長が語る「バブルとの決定的違い」 岩井コスモ証券・沖津会長インタビュー

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──バブル崩壊を機に、「株への投資は危ない」という意識が日本では根付いてしまったように思います。そのような個人の投資に対する意識は変化するのでしょうか。

証券業界の集まりの場で、「貯蓄から投資へ」ではなく、現実は「投資から貯蓄へ」お金が流れていると自嘲したこともあった。だが、意識は変わってきていると思う。今回の株価上昇の原因の1つにもなっている。

背景にあるのは新NISA(少額投資非課税制度)の開始といった政策の後押し。また東証がPBR(株価純資産倍率)の改善要請を出したことで、企業が配当や自社株買いなど、投資家を意識した努力をし始めた。

日経平均4万円は通過点

──アメリカを中心とした先進国および新興国の株式市場の値動きに連動する、「オルカン」のような全世界株式インデックス投信が新NISAでも人気のようです。

投資効率の良さを考えると、アメリカ株のほうがいいのは事実。グーグルやアマゾンなどGAFAMのような銘柄がアメリカではどんどん出てくる。どうしても向こうで新しいテクノロジーが生まれるので。

──日経平均の今後をどうみていますか。

今年中ですか?辰年はアノマリー(経験則)がある。1976年以降の過去4回の辰年を振り返ると、うち3回は年末の大納会が高値で終わった。今年もこういう状況だと、尻上がりに上昇するのでは。

4万円を超えて4万2000円から4万3000円までいけばうれしい。ただ4万円は通過点。遠い将来は10万円もあるんじゃないか。もちろんすぐにではないが、経済などの実体を反映した形で株価は上昇していくと思う。

緒方 欽一 東洋経済 記者

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おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

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梅垣 勇人 東洋経済 記者

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うめがき はやと / Hayato Umegaki

証券業界を担当後、2023年4月から電機業界担当に。兵庫県生まれ。中学・高校時代をタイと中国で過ごし、2014年に帰国。京都大学経済学部卒業。学生時代には写真部の傍ら学園祭実行委員として暗躍した。休日は書店や家電量販店で新商品をチェックしている。

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高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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