日系企業を襲うアジアの賃金インフレ--放っておけばどんどん辞める!?

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


--なるほど。在留邦人数から見てもアジア進出が増大している。中でもベトナムとインドが急増しているということですね。

これらの国々で今共通して起きている問題が賃金インフレです。進出企業の方からは「賃金上昇」と、それによる「離職率上昇」「採用難」の話が多くなっています。「中国の最低賃金引き上げの波」がアジア各国にも押し寄せ、現場は大変になっているという感じです。

--なぜ賃金は上昇しているのでしょうか?

言うまでもなく通常のインフレ、物価高が背景にあります。これはもちろん米国の金融緩和が発端です。特にひどいのがベトナムで6月の消費者物価上昇率が年率20.82%にまで上昇しました。物価が上がれば、「ストライキ」「公務員給与の引き上げ」「最低賃金の引き上げ」が発生しますが、早めに手を打って賃金を上げないと、どんどん人が辞めてしまいます。現地法人幹部は現場で忙しいため、全体の動きを見る余裕がなく、労働者を引き留めることができません。

--日本企業は、人件費が高騰する中国から逃げ出していますが、中国と同様に他のアジアも賃金インフレが起きているということですね。

貧富の差を表す統計にジニ計数というものがありますが、中国は過去ずっと、このジニ計数が急上昇してきました。しかし、他の東南アジアの国々は皆下がっています。格差是正による社会の安定化のために「起こるべくして起こった賃金引き上げ」ともいえます。

ただ、いざ「世界の工場」が賃金アップをしてみると、製品コストの上昇による世界インフレと、さらに新興国を中心とした賃金インフレに跳ね返るという状況になりかけているのではないでしょうか。これがアジア各国に直接的・間接的に影響を及ぼしています。影響は大きいと思います。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事