朝ラッシュ時には都心方面に向かう上り列車ばかりが混み合うというのは都会に暮らしている人の偏見なのだろう。電車を使うのは通勤だけではなく、むしろ少し都心から離れれば通学の学生が中心になる。
だから、上りも下りも関係なく、通学時間帯は大にぎわい。このあたり、東武動物公園駅は“都心と地方”の境目のような位置づけなのだろう。だから、上りの通勤ラッシュと下りの通学ラッシュという、ふたつの側面を持っている。
さて、そんな東武動物公園駅だが、実際にやってきてみて驚いた。改札口を抜けると、目の前にはタリーズコーヒーにロッテリア。東口に出たら駅前広場の脇にはドトールコーヒー。こんなところにカフェ街道。動物公園にやってくるお客が多い休日ならばともかく、平日にお客さん、いるんですかね……。
老若男女でにぎわうカフェ
と思ってちらりとのぞいてみたら、それがまた意外にたくさんのお客でにぎわっている。地元のご婦人が友人と連れだってお茶をしているかと思えば、パソコンを広げて作業をしているビジネスマンの姿もあった。都心からずいぶん電車に乗ってきたような気がしたが、やっぱりまだまだ“東京”の匂いが濃厚だ。
「この駅は、もともと杉戸駅という名前で開業しました。駅の北側には旧日光街道の杉戸宿があり、それに由来します。1981年に動物公園が開園して、駅名も東武動物公園駅になりました。その頃は駅の西口(南側)には東武鉄道の杉戸工場があったんです」(神崎駅長)
杉戸工場は2004年に閉鎖され、いまは再開発エリア。オシャレな雰囲気の無印良品と東武ストアが西口駅前に誕生した。駅前広場には杉戸工場時代の記憶をとどめる転てつ機がオブジェとして鎮座する。鉄道の町から動物公園の町になり、再開発にともなってベッドタウンにもなりつつある、といったところだろうか。
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