双方のケースとも、ドライバーは荷主に指定された時間に行ったにもかかわらず待たされる。これはドライバーや運送事業者ではどうにもならず、荷主に指定時間通りに積み降ろしができる体制を整えてもらうか、本当に積み降ろしができる時間を指定してもらうか、荷主の理解と協力により実態に合わせた条件へと見直してもらえれば、荷待ち時間の短縮はできるとみる。
「手荷役」がドライバーの負担になっている
ドライバー自らが荷物の上げ下ろしなどを行う、荷役作業もまだ多く現場で手荷役がみられ、ドライバーの労働時間や身体の大きな負担となっている。
大きなロットでの輸送が多いサプライチェーンの川上においても、いまだパレット化が進まないケースが少なくない。つい先日も筆者が立ち会った現場では、農産品の選果場から市場や卸売業者までの輸送において、「10トン車への積み込みが手積みで2時間、荷卸しも納品先で2時間、合計4時間」というケースであった。
この輸送を積み込みも荷卸しも全てパレット化できると、それぞれの荷役時間は30分程度、合計1時間程度で済み、3時間の時間短縮が見込まれるのである。非常に大きな効果である。
荷役作業の改善においても、物流事業者と荷主企業、あるいは発荷主と着荷主の間での物流の取引条件の見直しが必要となる。発荷主と着荷主の間で、どのようなサイズのパレットで回収するななど、どのような運用とするかを決めることで実現できるものだからである。
上記のような個別の物流現場自体を対象とした「個別最適」に加えて、「製造→卸→小売」に代表されるサプライチェーン全体で、無駄な輸送や保管をしない仕組みづくりである「全体最適」への取り組みも極めて重要となる。
当面のポイントである2024年を迎えた。産業界/荷主企業においては、持続的な物流の確保に向けた取引条件や商習慣の見直しに真摯に取り組むべき時期にきている。荷主企業の物流対策の本格義務化へ、経営トップの意思決定が求められる時代である。
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