また、手で荷物を1つずつ荷下ろし・運搬する「手荷役」から、パレット(工場、倉庫、コンテナ、トラックなどで荷物を載せる荷役台)荷役に変更することで荷下ろしなどの効率化が望めるが、これも発荷主と着荷主との間で、パレットサイズの統一やパレットの管理、返却などの仕組みを検討、導入してもらわないと実行できない。
このような中、昨年6月に政府から「物流革新に向けた政策パッケージ」が発表された。ここでは「抜本的・総合的な対策を『政策パッケージ』として策定。中長期的に継続して取り組むための枠組みを、次期通常国会での法制化も含め確実に整備」するとしている。
その後、2024年2月13日、物流の持続的成長を図るための法案が閣議決定された。
特に荷主・物流事業者に対しては、1)物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課し、それについて国が判断基準を策定、2)一定規模以上のものを特定事業者として指定し、中長期計画の作成や定期報告などを義務付ける、3)中長期計画に基づく取り組み状況が不十分な場合、勧告・命令を実施する、4)特定事業者のうち荷主には物流統括管理者の選任を義務付けるーーなどの規制が設けられた。現在会期中の2024年通常国会で、本法律案が可決成立される見込みだ。
荷待ち時間の削減は荷主の理解と協力が必須
今回の改正の影響に関する定量的な試算では、参考として、「荷待ち時間と荷役時間の削減を見込んだ場合、輸送能力の不足の解消が見込まれる」としている。
具体的には、荷待ち時間1時間34分のうち17分短縮、荷役時間1時間29分のうち9分短縮すればよいことなのである。筆者の経験では、現場での理解や工夫で可能なことに思え、運送事業者と荷主の協力にて改善に取り組むことが望まれる。
特に、荷待ち時間の削減については、荷主の理解と協力により改善できる現場が少なくない。
先に記載した8時に集中する荷卸し時間による荷待ち時間の発生事例に加え、例えば荷物の積み込みに指定の午後5時に行っても、製品未完成や検品の遅れ、積み込み車両の集中などにより時間通りに積み込みができず、積み込み開始が午後7時となり2時間の荷待ち時間が発生している現場があるとしよう。
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