物流現場「8時だョ!全員集合」という悪しき慣習 2024年問題は荷主側の協力がないと解決不可能

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今回の上限規制を含む「働き方改革関連法」の制定と関連して、トラックなどの自動車運転者の労働条件の改善を図るために、拘束時間、休息期間、運転時間等の基準を定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」も見直しの検討が行われ、4月から適用となる。

その中で、1年の拘束時間(始業から終業までの時間)が、現行の「3516時間」から「原則3300時間」へと短縮される。この年間拘束時間3300時間は、時間外労働の上限規制年間960時間とほぼ同様の水準である。

問題解決には発着荷主との連携が不可欠

1年の拘束時間が「原則3300時間」への改正により、営業用トラック輸送において「不足する輸送能力」の観点での影響の定量的な試算を行った。この試算は、経済産業省などによる「持続可能な物流の実現に向けた検討会」で、当該検討会の委員である筆者が示したものである。

この状況を乗り越えるには、規制の当事者である物流事業者の自助努力が重要であることは言うまでもない。ただし、物流事業者、特にトラック輸送の現場で働くドライバーの仕事の内容は、発荷主との契約、指示に基づくものであり、物流現場の改善には、発着荷主(荷物の出し手と、受け取り手)間の取引条件の見直しが必要不可欠とのことが、前述の検討会の最終とりまとめでは明示された。

具体例をあげれば、卸売業者着荷主先に指定時間通り午前8時に着いても、同じ時刻に20台ものトラックが集中し、荷卸しの順番待ち時間が発生、長い時には荷卸し開始が午前11時になることも。3時間の「荷待ち時間」である。

こうしたケースでは、着荷主がすべての仕入先(発荷主)に午前8時の時間指定をしているならば、いつまでたっても荷待ち時間は解消できない。この改善には、例えば着荷主が仕入先(発荷主)によって指定時間をずらす、すなわち納品時間という発荷主との間での取引条件の見直しが必要となる。

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