死んだペットは「ゴミ」?尼崎市の騒動から考える 自治体で異なる対応、専用の動物火葬炉は高額

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ペットの供養は、ペットと飼い主の関係で考えるものであり、人間のように先祖代々という永続的なものではありません。そのため、飼い主やその家族が納得のいくやり方で行うのがよいと考えます。

民間業者を利用する場合は、下記のようないくつかの方法があります。しかし、民間業者によって料金や付随するサービスが違いますので、比較検討して納得のいく方法を選択することが大切です。

ペットの供養の方法と火葬のしきたり

■合同葬:他のペットと一緒にお経をあげてもらい、その後に合同火葬をしてもらう方法。火葬の立ち合いや骨上げはできない。基本的に遺骨は他のペットと混合され、共同墓地や合同供養塔などに埋葬される。

■一任個別葬:一緒にお経をあげてもらい、その後に個別に火葬してもらう方法。業者にすべての業務を一任することになるので、火葬の立ち合いや骨上げはできない。遺骨は納骨、埋葬、返骨が可能。

■立ち会い個別葬:一緒にお経をあげてもらい、その後に個別に火葬してもらう方法。業者に一任するのではなく、飼い主が立ち会いながら火葬をし、骨上げを行う。遺骨は納骨、埋葬、返骨が可能。

■自宅葬:民間業者が飼い主の自宅まで出向いて、すべての業務を行う葬儀。お経をあげてもらい、その後に移動火葬車にて火葬を行う。骨上げもできる。人間と同じように友人や知人を招き、「お葬式」という形でペットを見送ることも可能。

筆者は人間の葬儀社で働いた経験があるのですが、火葬のしきたりが東西でおおよそ異なり、火葬後の骨上げは、すべての遺骨を6寸以上の大きな骨壺に納める「全部拾骨」と、部分的に5寸以下の骨壺に納める「部分拾骨」に分かれることを知りました。

ペットの場合も関西の民間業者がその火葬のしきたりに従って、「部分拾骨」で飼い主に返したケースがあると耳にしたことがあります。

依頼の際には「全部拾骨」であるか確認する必要があります。また、なかには悪質な民間業者もいますので、料金の詳細や総額などを事前に確認し、必ず書面で受け取るようにしましょう。

今回のニュースでは、亡くなったペットは「ゴミ」なのかということで、注目を集めました。

亡くなった後の対応については、自治体を利用するにしても、民間業者を利用するにしても、納得のいく供養ができるようにするにはペットが元気なうちから比較検討しておくことが大切です。

もしものときにあわてて選択し、後悔したという飼い主も少なくありません。「ペットは大切な家族」と思えばこそ、愛するペットにふさわしい供養を飼い主の責任としてしっかりと考えたいものです。

阪根 美果 ペットジャーナリスト

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さかね みか / Mika Sakane

世界最大の猫種である「メインクーン」のトップブリーダーでもあり、犬・猫などに関する幅広い知識を持つ。家庭動物管理士・ペット災害危機管理士・動物介護士・動物介護ホーム施設責任者・Pet Saver(ペットの救急隊員)。ペットシッターや保護活動にも長く携わっている。ペット専門サイト「ペトハピ」でペットの「終活」をいち早く紹介。豪華客船「飛鳥」や「ぱしふぃっくびいなす」の乗組員を務めた経験を生かし、大型客船の魅力を紹介する「クルーズライター」としての顔も持つ。

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