データで深掘り「大谷翔平のピッチング」のスゴさ 細部に対する分析はビジネスの世界でも役立つ

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今回は、大谷選手の野球データでしたが、この「細部に対する理解を深めつつ発見したことを周囲に波及させていくことが重要になる」点は、野球以外にも共通するのではないかと思います。

自社や他社について感覚的・経験的に理解するだけでなく、データを元に定量的に把握することは、野球の世界でもビジネスの世界でも競争優位性を確立する鍵になってくるはずです。

そして、データを分析し可視化する際には、プログラミングを活用することで、効率や自由度を格段に高めることができます。もちろんExcelでも一通りデータ分析を行なうことはできますが、大量のデータを扱ったり、より手の込んだ見せ方をしたりするためには、プログラミングの活用が不可欠になるでしょう。

プログラミングのなかでも特に、こうしたデータ分析や可視化にあたっては、プログラミング言語のひとつである「Python」が頻繁に用いられます。

Pythonの文法はシンプルで読みやすく、初心者にとって学びやすいことで知られています。さらに、ここ最近で一気に普及したAI(人工知能)の開発でも、Pythonが頻繁に使われるなど、汎用性の高さも魅力のひとつです。

とにかく手を動かして実践してみる

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膨大なデータが収集可能になったいま、Pythonはプログラマー以外の人が使う場面も増えています。求人サイトを見ていてもPythonに関連するものは非常に数が多く、活用の場が広がっていることは明らかです。

習得すれば、市場価値の高い武器となる「Python」。

プログラミング初学者の方にはハードルが高いかもしれませんが、まずは自分が興味のあるデータから、完璧に理解できなくても手を動かして実践してみてもらいたいと思います。

齋藤 周 福岡ソフトバンクホークス・アナリスト

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さいとう あまね / Amane Saito

福岡ソフトバンクホークス・アナリスト。株式会社アマテクノ代表取締役。2000年生まれ。東大野球部に入部し2年生の新人戦では主将も務めたが、怪我の影響で2年秋から学生コーチ、3年秋からはアナリストを兼任。データ活用戦略を立て、足を使った攻撃や相手打者に応じた守備位置を研究。六大学春季リーグの最終戦で法政大学に勝ち、東京六大学野球リーグ戦の連敗を64で止める。「競技プログラミング」コンテストの入賞がきっかけで、センサー機器大手「キーエンス」からオファーがあり内定するも、SNSの発信がきっかけでソフトバンクからも声がかかり現職。X(旧Twitter)やnoteを通じてデータ分析に関する知見を積極的に発信している。

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