「6浪が理由で就活惨敗」追い詰められた彼の顛末 どん底だった20代、32歳で長年の夢をかなえた

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こうして30歳で海洋系大学に入ってからも一生懸命頑張った彼は、ふたたび年齢で就活に苦労したものの、ある海運会社から内定をもらい、32歳で夢だった航海士になれたのです。

浪人 濱井正吾 早稲田
航海士になった海洋さん(写真:海洋さん提供)

16年航海士をやった彼は、業務のかたわら社会人大学院に在学し、博士号を取得。55歳の役職定年を前に航海士を育成する教員に転職し、後進を育成しています。

浪人してよかったことは一切ない

彼はいま、当時を振り返って、浪人してよかったことを「一切ない、微塵もない」と強く否定します。しかし、その一方で「できない人の気持ちが人一倍わかるようになった」ことが財産だとも答えました。

「私が浪人した経緯は怠惰と思い上がりにつきます。自分がしっかりしてればする必要がなかったし、時間の無駄でした。でも、自分が暗黒時代を経験したことで、違う立場の人の気持ちを理解する姿勢が身について、謙虚になれたかなと思います。『俺も元々そうだったじゃないか』と。今、人に教える立場の仕事について、当時の自分に立ち戻って考えられることがより生きていると思います」

6年間の長い挫折の期間を経て、8年間の努力を重ねて夢をかなえた彼の経験は、きっと優しくもたくましい航海士を育てることにつながるのだろうと思いました。

海洋さんの浪人生活の教訓:つらい経験をすることで、人の気持ちを理解する姿勢が身につく
濱井 正吾 教育系ライター

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はまい しょうご / Shogo Hamai

兵庫県出身、1990年11月11日生まれ。「9浪はまい」のニックネームでTwitterやYoutube、テレビ出演などを行っている。大阪産業大学経済学部経済学科に入学後、龍谷大学経済学部現代経済学科に編入学し、卒業。 高校時代にいじめを受けたことから、いじめっ子を社会的に偉くなって見返したいと思い、在学中から仮面浪人として受験勉強を4年間続ける。大学卒業後、証券会社に契約社員として就職したが10日で自主退職、同月中に配置薬会社に再就職。昼は会社、夜は予備校という生活に。同社退職後は受験勉強に専念し、9浪で早稲田大学に一般受験で合格し、2018年に教育学部国語国文学科入学、2022年卒業。現在はカルペ・ディエム所属。

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