「6浪が理由で就活惨敗」追い詰められた彼の顛末 どん底だった20代、32歳で長年の夢をかなえた

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悪夢のような6年間を救ってくれた最後の2週間。この経験は、確実に彼の人生を前向きにしたようでした。

海洋さんは頑張れた理由を「諦めが悪かったから」、落ち続けた理由を「コツコツ努力できない自分の性格をわかっていなかったから」と振り返ります。

「見栄を張って国立大や早慶にこだわっていなければ、もっと早く大学に行けたのだと思います。そういう点では後悔していますね。ただ、大学に入ってから、6年間を取り戻そうと勉強に励んだら、学部長に他学科の助手として契約社員にならないかと誘ってもらえました。上位の成績で合格できたことが幸いしました。

学費と生活費は多浪で大学に通う学生として全部自分で賄って筋を通そうと思っていたので、大学で10時から17時まで週6日勤務して給料をもらい、17時半から21時半まで授業を受け、深夜2時まで実験レポートを書く生活を続けました。

教員免許も取りましたね。おかげで学校の先生方に可愛がっていただけて、200人中2位の成績で学部を卒業でき、学内推薦で大学院に進学し、ロボット工学の研究室に所属しました」

年齢が理由で採用できないと言われる

大学院でも先生や大学院生によくしてもらった海洋さんは、夢であった航海士にはなれなくとも、できるだけ船に関連した会社に就職したいと考え、造船会社を希望します。修士課程の就活は、ほとんどの人が行きたい企業に内定が決まっていたそうで、順当に役員面接に進む予定でした。

しかし、彼は年齢が原因でお断りの連絡を受けます。

「『新卒30歳は採用できない』と言われたんです。あと一歩で夢がかないそうだったので、ショックを受けました……。ただ、昔から行きたかった海洋系大学の3年次編入が前年から始まっていたので、就活と並行して念のため受験していたんです。行くことはないだろうと思っていたのですが、学部と修士で6年間がっつり勉強していたので、試験は通ると思い受験しました。

すると、採用を断られてからすぐに合格通知が届いたので、親に電話して、30歳にもなって申し訳ないけど、もう一回学生をやらせてもらえないかとお願いしたんです。母親は怒ったのですが、父親は『すごいな、ぜひ行きなよ!』と母を説得してくれました。

『やりたいと思ったことが最後までやれたら、お金稼ぎはなんでもいいじゃないか。体が健康ならどんな仕事をしてもいいから、やりたいことをやり残さない状態で世の中に出なさい』と父親に言ってもらったことは今でも覚えています」

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