6月24日、京大・東大発創薬ベンチャーのリプロセルが、脊髄小脳変性症という希少神経疾患向けの間葉系幹細胞治療薬「ステムカイマル」の国内における「条件及び期限付き承認」申請を行った。
台湾のステミネント・バイオセラピューティクスから日本での開発販売権を取得して約10年が経ち、国内フェーズ2試験(2相)データの発表からはまる3年の月日がかかった。
目指す来年3月までに承認されれば、この疾患では世界初の細胞薬となる可能性が高い。iPS細胞などの研究機関や製薬会社などに販売する研究支援事業を主体に、営業赤字が続く「地味」なベンチャーは、世界初承認の偉業を勝ち取れるのか。また、承認を契機に会社はどう変貌するのかなどについて、トップの横山周史社長に直撃した。
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一部有意差なしで承認は取れる?
――「ステムカイマル」の承認申請が実現しましたが、2相の結果発表から3年もかかりました。なぜですか。
「条件付き承認」では、2相での安全性と有効性が推定されるデータが求められる。加えて市販後臨床試験(治験)などを実施して、市販後に有効性を再現したデータが取れるかを当局との間でかなり詰めないと、承認申請に至らない。市販後の治験デザインを含めて、様々な詰めに時間がかかったと思っていただければよい。

――2相データでは被験者全体での統計的な有意差は出ませんでした。治験入り前の重症度が高い患者ではプラセボ(偽薬)群に比べて統計的有意差が出ているものの、比較的軽症の患者では有意差が出ていません。これで当局の承認が下りますか。
全体集団で有意差が出ていれば、条件付き承認ではなく(市販後の3相治験が不要な)本承認に持ち込んでいる。(有効性の高い)既存薬のあるなし、対象疾患の重篤性、有効性が立証可能なデザインの市販後治験が準備できているかなどを含め、総合的に判断するのが条件付き承認制度だ。
今回は2相データを考えて、この条件付き承認のガイドラインに沿った形で申請をした。よく誤解されるが、重症度の比較的軽い患者にステムカイマルが効いていないわけではない。(実薬を投与されているか、偽薬を投与されているか患者には分からない二重盲検試験では)軽症患者だと比較的、プラセボ効果が大きく出る。
(プラセボ効果が盲検試験のようには出ない)レジストリという自然歴の患者データと比べれば、軽症患者でもステムカイマルは有効差を出している。脊髄小脳変性症だけではなくパーキンソンなど神経系の病気の試験では、軽症の人にプラセボ効果が大きく出る。これは学術的に証明されている話だ。神経系疾患の軽症患者でプラセボとの統計的有意差を出すのは、試験では極めて難しい。
――要するに、軽症患者も含めて、ステムカイマル投与による改善と有効性はある。そこを評価してくださいというのが、審査に臨むリプロセルの基本姿勢だと。
その通りだ。
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