与力は賄賂で大儲け?江戸時代の「不正」驚く実態 都市行政に練達しているからこそ便宜を図られた

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江戸時代で行われていた隠蔽工作とは(写真:かたつむり/PIXTA)
歴史上、最も平和だったと言われることも多い江戸時代。しかし、内情を詳しく掘り下げてみると、賄賂や隠蔽工作など、現代にも通ずる悪事を行う者もいました。その実態はどのようなものだったのか、歴史家の安藤優一郎氏が解説します。
※本稿は安藤氏の新著『江戸時代はアンダーグラウンド』より、一部抜粋・再構成のうえお届けします。

都市行政のエキスパートだった与力・同心

江戸町奉行と並んで、時代劇の主役となることも多い町奉行所の与力と同心。実は、担当部署によってはかなりの役徳があった。南北両町奉行所にはおのおの、与力が25騎、同心が100人ずつ付属していた(延享2年(1745)に同心が20人ずつ増員)。

与力の家禄は、150~200石。同心は30俵2人扶持である。その組屋敷は八丁堀に置かれたため、八丁堀の旦那という異称もあった。合わせて300人近くいた与力・同心は、他の幕府役人とは違って、事実上世襲である。

親子代々にわたって与力・同心を務めたため、奉行所の職務に精通するエキスパートだった。かたや彼らのトップにあたる町奉行は、お裁きだけでなく都市行政全般、そして三奉行として寺社・勘定奉行とともに国政を担う立場であった。激務のあまり、在職中に死去する例も少なくない。

次ページかの有名な大塩平八郎も務めた与力の仕事
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