時代劇でお馴染み"お奉行さま"の「破格の年収」 一方では「自炊が基本」で暮らす下級武士たちも
昨今、「政治と金」をめぐる話題がメディアにのぼらない日はありませんが、江戸時代の為政者である武士階級の金銭事情がどのようなものだったのかは意外と知られていません。
国政の統治者である江戸幕府の財政事情から、時代劇でお馴染みの町奉行や与力・同心、はては単身で江戸勤番にあたった下層節まで、武士階級のリアルな懐具合を解説します。
※本稿は、磯田氏の監修書『新版 江戸の家計簿』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
江戸幕府の財政収入は最大で約1兆3890億円
江戸幕府の誕生以来265年余り続いた江戸時代。人口が100万人を超える大都市へと発展した江戸は、その半数が武士である。支配階級である武士の生活を支えるためにさまざまな商人や職人たちが江戸に集まった結果、同時代のヨーロッパ最大の都市ロンドン(約70万人)やパリ(約50万人)を凌駕する巨大都市へと変貌した。
武家を中心とする統治機構によって日本全国を支配した江戸幕府の財政収入は、金に換算して約401万1766両に及ぶ(天保9〈1838〉年頃)。内訳は主に年貢収入や直轄鉱山からの収益である。徳川将軍家がおよそ800万石を所有していたと一般に知られる。
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