「GDP4位転落」日本に数学嫌い克服が必要な理由 「何の役に立つのかわからない」というイメージ

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残念ながら「数学嫌い」の問題だけは、目に見える形で改善されることは難しいと痛感している。ちなみに、数学教育に関する他のさまざまな問題に対しては以下のような提言も積極的に出して、それなりに改善されてきたと振り返る。

「ゆとり教育」に関しては、「教科書の改善・充実に関する研究」専門家会議委員(文部科学省委嘱、2006年~2008年)としての最終提言に自説を盛り込んでいただき、現在は桁数の大きい掛け算、四則混合計算、分数・小数の混合計算などの指導は見直されている。

「は(速さ)・じ(時間)・き(距離)」式の問題点

2009年に開始された教員免許更新講習制度は、10年以上にわたって続いた。筆者は90年代後半から全国各地での教員研修会で講演してきたが、その制度は、教育現場に全く興味をもたない大学教員が自分の専門のトピックスをばらばらに話しているだけのところが圧倒的に多く、昔からあった各自治体での定期的な教員研修制度の方が、現場を考えての研修だけにずっと機能していたと考えた。

そこで、周囲からの「この問題に関してお上に逆らうのは危険ではないか」という忠告を鑑みないで、その旨を2013年に刊行した拙著『論理的に考え、書く力』(光文社新書)などで散々主張した。その後、現場サイドからの疑問の声が高まったこともあって、2022年の夏に教員免許更新講習制度は廃止された。

数年前から拙著『AI時代に生きる数学力の鍛え方』(東洋経済新報社)、『中学生から大人まで楽しめる算数・数学間違い探し』(講談社+α新書)などで、「やり方」の暗記だけの算数・数学の学びの問題点を精力的に指摘してきた。

最近、「は(速さ)・じ(時間)・き(距離)」式の学びの問題点が、ネット上で何人もの識者によって指摘されていて、正しい方向に導いていただいていると考える。また、プロセスをしっかり述べる記述式の意義が文部科学省からも発信され、教育現場では広く認識されてきている。

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