日本代表GK権田はFC東京で何を学んだのか DF吉本との同期対談でJ屈指の育成力を分析
――FC東京は「自立」を行動指針に掲げています。当時の練習を振り返って、今につながっている部分はありますか。
権田:中学1年生のとき、僕らの代はボールを自分たちで準備したり片付けたりしないといけなかったのに、そういうところを忘れがちだった。だから、ペナルティとして結構、ゴミ拾いに行った。
吉本:行った、行った(笑)。
権田:当時のコーチに「お前ら、ボールも片付けられない、練習に必要なものを準備できないんだったら、サッカーの練習をしなくていい。だったら、街のために、近くの川の周りのゴミ拾いをしたほうがよっぽどお前らのためになる」と言われて、本当にそういうことをいろいろやった。
そういうときに、ただ走らされるとか、坊主にされるとか、よくあると思うんですけど、僕らはサッカーに必要なことを自分たちでできなかったら、練習すらさせてくれない。坊主にしたら練習できるかもしれない。走るのも一応、練習になる。
そうではなくて、練習しに行っているのに練習できない状況を当時のコーチは作ってくれた。僕らはサッカーをするのがすごく好きだったので、そういうことがあって、自分たちで準備や片付けすることを含めてサッカーなんだ、というのを学んだ。
FC東京の育成が他クラブに勝る点
――サッカー選手である前に、人としてどうかと?
権田:そうですね。それと、中学1年生であっても、トップチームと同じエンブレムを付けて練習する。練習試合でもこのエンブレムを付ける。ということは、責任があるじゃないですか。トップチームはもちろんFC東京の代表としてやっているけれど、中学1年生の頃からFC東京の一員として振る舞わないといけないと教えられた気がする。
――人間として視野が広がることで、サッカーの視野も広がるということですね。
権田:そうそう。
吉本:中学1年生でもFC東京の一員として、という意味では、当時のコーチはトップチームの試合のゴール裏にみんなを連れて行って、サポーターのど真ん中で一緒に応援させてくれた。その中で応援歌を覚えて、たとえば中学1年生のときに中学3年生の試合を観に行って、覚えた応援歌を歌って応援したりして、チームの一員という意識を植え付けてくれた。
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