「頭の中の日本語」が英語上達を邪魔している 英語漬け&日本語排除でみるみる変わる

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安河内:Graded Readersは、各社からかなりのタイトルが出ています。レベルも細かく分かれていて、簡単なものは中学レベルの数百語から、何万語という難易度の高いものまでそろっている。ネット検索すれば、語彙や文法の難易度的に、自分の英語レベルに合った手ごろな本が見つかります。特に英語を読むことにアレルギーがあるような人にはオススメですね。

のめり込めない題材は避けろ!

松村弘典(まつむら・ひろふみ)●オンライン英語学習サービスを提供するEnglishCentral日本法人社長。1976年、埼玉県出身。英オックスフォード・ブルックス大学卒業。高校卒業後、シンガポールでの2年間の留学を経て、オックスフォード・ブルックス大学の4年に編入。最優秀学位を取得して卒業した後、日本へ帰国しメイテックに入社、エンジニアとしてキャリアをスタートさせる。その後、日本マイクロソフト、ニュアンスコミュニケーションズ・ジャパンなどを経て2009年より現職。EnglishCentralウェブサイト

松村:とにかく本を選ぶときは、自分が興味のあるものや勉強中のこと、または、先が気になって眠れないようなものにすべきです。でないと、読み進められないのは日本語と一緒。なぜか読む気がしないのは、英文に慣れていなかったり根気がなかったりするからではなくて、本の題材が悪いから。そんな場合もけっこうあります。題材が悪いと「めんどくさい」「途中で挫折した」という“負け癖”がついてしまう。だから、簡単で短くてOKなので、「読みきった!」という成功体験を重ねることが大切です。読み終えた冊数が増えていくと、英文を読む苦手意識が消えていきます。

安河内:好きなジャンルや作家を見つけるのは大事ですね。面白すぎてついついページをめくってしまうような本を英語でpage-turnerと言いますけど、松村さんにとっての英語本のpage-turnerは?

松村:シドニー・シェルダンです。彼の作品を読んでちょっと大人になりました(笑)。最初に読んだのは、「The Other Side of Midnight(真夜中は別の顔)」。夜寝る前に読み始めたら面白くて、気づいたらもう翌朝だったような……。それぐらいハマれる本が見つかれば、読み切るのもラクチンです。逆に名著と言われるジェーン・オースティンの「Sense and Sensibility(分別と多感)」は、いまだに読破できていません。

安河内:リーディングだけにかぎらず、のめり込める題材を探すのは、英語学習をするうえですごく大切ですね。

松村:同感です。「のめり込めない題材は避けろ!」はホントは鉄則にしようと考えていたんです。それほど僕の英語学習においては重要なポイントでした。

鉄則その3:生活、頭の中から日本語を追い出せ!

 

安河内:丸暗記した辞書にある重要単語を、新聞や本の英文を読み進める中で何度も確認し、自分でも使える単語へと“アップグレード”させていったシンガポールの松村青年。すぐ専門学校の授業も始まります。次は何を?

松村:単語の丸暗記から、英文を多読し文章の中で単語の意味を確認する学習に移行したあたりから、英英辞典を使うようになったんです。「英語は英語で勉強したほうが効率がいい」と気付いたんです。

安河内:日本語を介在させるべきではないと?

松村:はい。その時点の僕は、丸暗記して覚えた単語を、英文の中で目にしていわば「復習」をしていたわけです。まだ、復習しないとどんどん忘れてしまうという状況です。丸暗記は1日100単語ずつ継続したので、復習しなければならない単語はたくさんある。

でも1日に復習できる単語数には限りがあります。そこで、「あれ、何だっけ?」と意味があやふやな単語を調べるのに英英辞典を使うと、もちろん単語の説明が英語になります。その説明の英文の中にも、僕が暗記したほかの単語が含まれていることが多々あって、単語を思い出すチャンスがグッと増えたんです。

安河内:なるほど。確かに英英辞典の定義というのは、語彙が制約された英文で定義されているから、基礎の重要単語が何回も出てきますね。

松村:そうなんです。今、振り返ってもよかったと思うのは、英英辞典への切り替えによって、わからない単語があっても、英語で何とか説明しようとするクセがついたことです。光合成=photosynthesisと知らなくても、The process which plants produce oxygen and glucose using water, sunlight and carbon dioxide.(太陽光と水、二酸化炭素により酸素とブドウ糖を合成する過程)というふうにsubstitute(代用し)て、切り抜けられるようになりました。

日本語追放キャンペーンはこう始まった!

松村:こんな効果を実感しつつ英英辞典を使い出すと、日本語がどんどん邪魔な存在になっていきました。そこから、辞書だけでなく、生活でも日本語を徹底的に排除して英語漬けになったほうが、より効率がいいんじゃないかと思ったんです。「身の回りと頭の中から日本語を追放!」と決意してからは、まず部屋にあった日本語の活字類をごっそり捨てました。

安河内:じゃあ、シンガポールに渡って3カ月目ぐらいにして“日本語断ち”したんですね。日本語の文字があるのはパスポートだけになった?

松村:それと、日本の知人の連絡先を記した電話帳ぐらいですかね。トコトン英語に浸る作戦だったので、たとえば、頭の中で暗算するときも「1足す1は2」ではなくOne plus one equals two.と徹底させました。「腹減ったなぁ〜」といった心のつぶやきもI am hungry.と、全部英語にして。

安河内:「お、あの子かわいい!」も、Oh, she is hot!みたいに言ってたんですね。最初、テレたりしなかった?

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