安河内:1カ月で自主退学?
松村:はい。ビザなしの状態でシンガポールに行ったので、早く次の学校を探して学生ビザを取る必要がありました。それで、新聞広告に載っていたIT系の専門学校に乗り込みました。説明を受けても内容はほぼ理解できなかったんですが、学費が年間30万で済むことだけは、何とかわかりました。すぐに入学を決めて、一括払いしたのが6月ごろでした。「授業が始まる9月まであと3カ月で、自分の英語を何とかしよう!」と決意したのが、僕にとっての英語学習の真のスタート地点でした。
安河内:まずは何を?
松村:正直、どこから手を付ければいいのか見当がつきませんでした。なので、高校の英語の先生に言われて覚えていた、数少ない一言「英語の辞書には大切な単語に星印がついていて、この星印の単語さえわかれば英語は何とかなる」を信じることに。辞書の星印の重要単語を全部丸暗記すると決めました。
持っていた辞書には約6000単語に星印があると書かれていたので、1日100単語覚えていけば2カ月で終わる。さっそく先頭のaのページからめくっていきました。
安河内:やり遂げたんですか?
松村:いえ、最後のzまでは行きつきませんでした。でもoまでは、みっちりとやりました。加えて、新聞に出てきて意味がわからず調べたというような、生活していく中で覚えた単語もあります。これで、oまで到達した時点で、基礎的な単語力は身についていると日常生活で実感できたので、単語の暗記に一区切りをつけたんです。1カ月半が過ぎたころだったと思います。
安河内:暗記はどうやって?
松村:紙の表に単語のつづりを書きなぐり、裏に日本語の意味を書きなぐるという毎日でした。丸暗記を敢行して思ったのは、「語彙力は正義!」ということです。あって困ることは絶対なく、逆に足りないとどうにもならない。覚えようとしてまじめに努力した分だけ、伸びていくのが語彙力です。語彙力は学習者を裏切らないと思います。
英語嫌い、苦手な純ジャパでもすぐできる単語増強
安河内:真っ先に単語の増強をしたのは大正解だったと?
松村:はい。英語学習をイチから本腰を入れてスタートする純ジャパの人に「まず何をしたらいい?」と聞かれたら、間違いなく単語の暗記を勧めます。「面倒だし、もうやりたくない」と挫折しそうになるかもしれません。でも単語の暗記は、英語の文法力や会話力に関係なく、誰もが真っ先にできる。「できることをやらずに、先へいけるはずがない」と言い聞かせて、集中して暗記しようと努力し続けました。
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