学生が選ぶべきはトヨタ?三菱東京UFJ? 就活生も「転職人気ランキング」に注目しよう

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6月8日に総合人材サービスのインテリジェンスが「転職人気企業ランキング2015」を発表しました。文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の学生就職人気ランキングと比較してみましょう。

就職人気ランキング上位10社と転職人気ランキング上位10社はまったく重なりません。就職人気ランキングの上位10社中、6社が金融です。1位の三菱東京UFJ銀行は4年連続のトップです。学生間では金融人気が高いことがよくわかります。一方、転職人気ランキングには金融が1社もありません。

就職人気ランキングの中にはメーカーが明治グループの1社しかありませんが、転職人気ランキングには1位のトヨタ自動車をはじめ、6社もあります。ビジネシマンは金融よりもメーカーを高く評価しています。

日本の強みは物づくりの技術力ですから、学生のメーカー人気が低いのは理解に苦しみます。業界・企業研究が足りないのではないでしょうか。

転職人気ランキング1位のトヨタ自動車の2015年3月期の売上高は27兆2345億円、営業利益2兆7505億円で、売上高、営業利益とも日本最大。自動車販売台数は世界トップクラスです。ハイブリッド車や燃料電池車を開発し実用化するなど、技術力でも世界最先端を走る超優良企業です。

しかし、これだけの企業でも就職人気ランキングは60位。ビジネスマンが、トヨタ自動車の技術力やグローバル競争力を高く評価しているのとは対照的です。

3位のソニーは、過去5年連続してトップ3にランクインされています。業績低迷が続き、2015年3月期の最終赤字は1259億円にも達しますが、ビジネスマンはソニーの技術力や国際的なブランド力を評価しています。ソニーの就職人気ランキングは210位。学生にはソニーの実力が伝わっていないようです。

実はベンチャーが嫌いな学生たち

転職ランキングにはグーグル、Apple Japanと外資系2社がランクインしていますが、就職人気ランキングの中には外資系が1社もありません。また、表にはありませんが、転職人気ランキングの11位は楽天、12位はリクルートホールディングスです。これに対して、就職人気ランキングの11位は三井住友銀行、12位は日本航空となっています。

学生間ではベンチャー企業に人気があるかと思っていたのですが、実際はそうではありません。就職人気ランキング上位に金融が多く、外資系とベンチャー系が0社というのは学生の保守的な姿勢をよく表しています。しかし、保守的な姿勢を続けるばかりでは、企業との出会いのチャンスを逸してしまいます。転職人気ランキングを活用し、視野を広げて企業選びをして下さい。

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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