(第4回)低価格製品シフトは製造業を衰退させる

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(第4回)低価格製品シフトは製造業を衰退させる

海外生産における従業員1人当たり売上高は、国内生産のそれより低い。前回、このように述べた。これを地域別に見ると、左ページのグラフのとおりである。

日本と比べて北米は1・3倍、欧州はほぼ同じ水準だ。これに対してアジア地域の数字は、どこも国内より低い。NIEs(シンガポール、台湾、韓国)が76%程度だが、ASEANは37%で、中国は32%だ。

この順位は、1人当たりGDPと見事に相関している。現地生産の大部分が当該地域の需要に向けたものであり、所得の低い地域では低価格製品が中心になることを考えれば、こうなるのは当然のことだ。

もっとも、1人当たりGDPの格差ほどは開いていない。それは、比較的高所得の人々を対象とした製品だからだろう。

しかし、低所得地域で所得が高くても、その平均は世界全体から見れば必ずしも高いわけではない。「低所得国であっても富裕層を相手にすればよい」といわれることがあるが、1人当たり売上高はグラフで見るような結果になるのだ。

ただし、賃金支払いは少なくて済むので、売上高利益率は高くなる。2009年で、アジアは6%であり中国本土は6・5%だ(経済産業省「海外事業活動基本調査」)。


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