(第4回)低価格製品シフトは製造業を衰退させる

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新しい海外進出の形態を考える必要がある

なお、「今は低価格製品しか売れなくとも、将来は人々が豊かになって高価格製品が売れるようになる」と考えることができるかもしれない。しかし、そうなったときには賃金も上昇している。だから利益率は圧迫される。

「成長するアジアの需要を取り込め」と、しばしばいわれる。アジアが成長しているのは事実であり、そこに将来へのビジネスチャンスがあることも事実だ。だが、従来のやり方では、日本の製造業は衰退する。その理由として一般に指摘されているのは、次の3点だ。

(1)国内雇用が流出する(雇用の量的側面でのマイナス効果)

(2)アジアの低賃金に引かれて日本の賃金も下落する(雇用の質的側面でのマイナス効果)。これは日本の中国化だ。

(3)製品に差別化特性がなく、価格引き下げ競争に巻き込まれる。

それに加え、ここで述べたように「低価格製品であるため、産出額に対する付加価値率が低下し、低賃金労働を用いても利益率を高められない」という問題があるのだ。

日本企業は、量的拡大を求め、質的向上を求めない傾向がある。その結果が、現在のような進出形態をもたらしている。これが日本の製造業にとって本当に望ましいかどうかは、大いに検討の余地がある。

ではどうしたらよいのだろうか?今後行われるべき海外進出としては、いくつかの可能性がある。

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