(第3回)従来型の海外生産は製造業を衰退させる

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(第3回)従来型の海外生産は製造業を衰退させる

製造業の海外移転は、日本経済にどのような影響を与えているだろうか? まず雇用面を見よう。

経済産業省の「海外事業活動基本調査(2010年7月調査)」によると、09年度における現地法人の従業員は470万人である。これは、国内の総雇用者5980万人(10年平均。総務省による労働力調査)の7・9%であり、さして高い比率ではない。

しかし、製造業だけに限ると、かなり違う姿がある。現地法人の従業員は、「基本調査」で368万人だ。ごく最近の数字との関係を見るために「海外現地法人四半期調査」を見ると、10年10~12月で357・1万人だ。これは、日本の製造業の総雇用者1004万人の35・6%であり、かなり高い比率と考えることができる。

業種別に見ると、輸送機械は海外112・3万人に対して、国内の輸送用機械器具製造業は98万人だ。つまり、海外での雇用者のほうが多い。電気機械では、海外119・2万人に対して、国内150万人である(電子部品・デバイス・電子回路製造業64万人、電気機械器具製造業62万人、情報通信機械器具製造業24万人)。国内のほうが多いとはいえ、その差はわずかだ。

時系列で見ると、リーマンショックによる需要の急減で、海外雇用者数の伸びも低下した。設備投資もこのときに落ちた。ところが、日本国内とは違って急速に回復した。もちろん、海外での雇用者増がただちに国内の雇用減に結びつくとはいえない。つまり、海外移転は必ずしも国内の空洞化をもたらすものではない。しかし、かなりの影響があることは否定できない。

問題は、雇用者数に見合った売り上げや利益を、海外生産で実現しているかどうかである。


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