孫:だから僕は逆説的に「売れる・売れないよりも、好きなことをやっていたほうがよくない?」と思ってしまうんです。
「努力しなくてもいい」わけじゃない
つんく♂:ただ、そこで頑張ること、努力することを放棄していいのかという問題はありますよね。
孫:そこは僕も、つんく♂さんと同じ気持ちです。
僕もつんく♂さんも感じているのは、苦しいこと、つらいことから全部逃げていいと言いたいわけじゃない、ってことだと思うんです。
アメリカのシーモア・パパートさんという教育学者の方が「ハード・ファン」という言葉を使っていらっしゃいました。
つんく♂:「HARD FUN(きつい楽しさ)」ということですか?
孫:はい。たとえばプロ野球選手になりたいとか、歌手になりたいというような高い目標を目指すなら、その過程はきついし、しんどいですよね。
しんどいけど、それを乗り越えられないと突き抜けられない。乗り越えた先があるから楽しめるわけです。難しいことを乗り越えることって、楽しいことでもあるんですよね。
つんく♂:まさに、僕も「努力という言葉には、忍耐や我慢というニュアンスがあるけど、好きなことなら楽しいはずだ」というようなことを本に書いたんです。
孫:僕も「適当でいい」「努力なんていらない」なんて言う気はさらさらないんです。「やりたいと思ってはじめたなら、徹底的にやれ」って、本を書いたあとで、むしろますます思うようになりました。