「キャリア官僚→アマゾン」彼が15年で得た学び ロビイストの実態、どんなことが求められるか

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アマゾンの場合、「毎日がはじまりの日」という意味でのDay1という姿勢をとても大切にしているので、お客様が想像もしなかったようなサービスやプロダクトを常に生み出し続けている。

公共政策チームは、このDay1の姿勢をビジネスチームが実現できるように社内でサポートするので、ビジネス領域が拡大するにつれロビイングの業務領域は急拡大することになる。

加えて、企業自身の経済社会に対する影響が大きくなるにつれ、ロビイングの業務は法制度に関する活動にとどまらず、政府とのよりよい関係を構築するという企業のレピュテーション(評判)問題まで担うことになる。

アマゾンの場合には、欧州で納税や労働問題などに関してアマゾンをバッシングする論調が徐々に拡大したため、公共政策チームはパブリックリレーションズ(広報)チームと一体的にグローバルコーポレートアフェアーズという組織になり、アマゾンに対するレピュテーションをどう向上させるかという活動が重視されることとなった。

臨機応変に対応する「動的なロビイング」

そうなると公共政策チームの行動も「静的(スタティック)なロビイング」とは異なる「動的(ダイナミック)なロビイング」となる。

「動的なロビイング」の1つの特徴は、公共政策チームが取り扱う課題が固定的なものではなく、年々、場合によっては四半期単位で変化し、かつ、その範囲が拡大傾向にあるということである。

物販のインターネットショッピングであれば、消費者保護、薬事、食品・製品安全、資金決済、物流などに関わる政策課題が中心になるが、デジタル系のサービス(コンテンツ配信、デバイス販売)やクラウドコンピューティングサービスが加わると、セキュリティ、著作権、個人情報保護、電気通信、コンテンツモデレーションなど、さらに政策課題に広がりが出てくるし、また、同時にアマゾンという企業の行動に新たな注目が集まることにより、競争政策、環境エネルギー、人権といった公共政策分野の対応の重要性が増してくる。

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