「キャリア官僚→アマゾン」彼が15年で得た学び ロビイストの実態、どんなことが求められるか

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私の場合にも、アマゾンが日本で法人税を納めていないかのような誤解が、一部の国会議員に見られることがあったので、そのような誤解に接する度に、アマゾンの日本での納税状況について丁寧に説明した。そのため最近では、国会でのそのような誤解に基づく発言も随分少なくなった。

アマゾンは「置き配」が好例に

『テックラッシュ戦記――Amazonロビイストが日本を動かした方法』(中央公論新社)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。

このような企業についての政府関係者の正しい理解を前提とした上で、政府との間で良好な関係を構築するために、政府が抱える政策方針をテック企業の側面から支援し、政府も企業側もともに同じ目的を達成していくということが必要になる。

アマゾンの場合であれば、「置き配」についての取組がその好例であろう。このような「動的なロビイング」の活動はテック企業にとってはなくてはならないものであり、企業の社会的受容性を高め、引いては競争力を左右するものであると言っても言い過ぎではないと思う。

渡辺 弘美 元アマゾンジャパン合同会社顧問・渉外本部長

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わたなべ ひろみ / Hiromi Watanabe

世界中のAmazonで最古参のロビイスト。東京工業大学物理学科卒業後、1987年通商産業省(現・経済産業省)に入省し長年にわたりIT政策に従事。2004年から3年間日本貿易振興機構(ジェトロ)及び情報処理推進機構(IPA)ニューヨークセンターでIT分野の調査を担当。2008年にAmazonに転職。15年間にわたり日本における公共政策の責任者を務めた。24年に公共政策業務をアップグレードするアナリーゼ合同会社を設立し代表に就任。著書に『ウェブを変える10の破壊的トレンド』(ソフトバンククリエイティブ)、共著に『セカンドライフ創世記』(インプレス)がある。

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