イチゴを1粒1000円で売る方法を思いつけるか? 用途を変えれば、高くてもバカ売れに!
「自分の得意分野であるITを生かして、ビジネスとして新しい農業を確立することができたら、イチゴ産業の復興にもなるし、地元の雇用創出にも繫がるのではないか?」と考えた岩佐さんは、農業生産法人株式会社GRAを設立しました。震災からわずか4カ月後の2011年7月のことでした。
岩佐さん自身はまったく農業経験がありませんでしたが、匠の技をもつ地元のベテラン農家と協力しながらイチゴ栽培のIT化に取り組みます(このような農業の形態を「スマート農業」と呼びます)。こうして温度や湿度の管理など、これまで勘や経験に頼っていたものを数値化して、誰もが高品質なイチゴを栽培できるようにしたのです。
イチゴの利益を上げる方法
ただし、いくら高品質のイチゴを育てても、そのまま売るだけでは利益が上がりません。スマート農業には、さまざまな初期投資や固定費が必要となってきます。それを回収するためには価格を上げることが不可欠なのです。
しかしイチゴは品種によっておおよその相場が決まっています。GRAで育てているのも「とちおとめ」「よつぼし」「ハナミガキ」といった既存の品種です。栽培したイチゴのポテンシャルを上げるには、「品種」以外の要素でブランディングをして高価格で販売する必要があります。そこで熟度、色、形、糖度、大きさなどの基準を満たしたイチゴを厳選し、ダイヤモンドの原石を磨き上げる作業に例えて「ミガキイチゴ」と命名することにしました。
さらにレギュラー、シルバー、ゴールド、プラチナと4段階のグレードに分けて販売したのです。「プラチナ」に選ばれるのは、約500粒のうち1粒程度。希少性は十分です。
だからといって、それだけで買ってくれるでしょうか?
そこで考えたのが、商品コンセプトを「自分で食べるもの」から「人に贈るもの(プレゼント用・贈答用)」にすることでした。
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