衣料用洗剤「アタック」やスキンケア「ビオレ」など、複数ブランドで高シェアを誇る花王。2019年まで7期連続で営業最高益を更新したが、足元は4期連続の減益見通しに沈む。2023年度は紙おむつ「メリーズ」の中国生産終了など600億円を投じた構造改革が行われる。業績低迷の要因と挽回策について、2021年1月から舵取りする長谷部佳宏社長に聞いた。
――4期連続で営業減益の見通しです。何が要因ですか?
マーケティングが悪いといった、単純な問題ではない。すべてにおいて「薄まった」活動をしたため、業績が悪くなった。私たちの商売の中身が少し悪くなり、弱みを持つようになったのだ。
10人で100の商品を作るのと、10人で1000の商品を作る手間は一緒でも、マーケティング費用や研究費などが10倍に薄まる。もともとはお客様のためにやったことだが、瞬間的なニーズを捉えて広げすぎてしまい、1つの商品にかける力が弱まってしまった。
商品数が増えると、一時的には業績も伸びて店頭も花々しく見える。一方で1つの商品に対し、力を込める割合が小さくなってしまう。その結果、売上高は上がったのに利益は下がった。コロナや原材料高騰といった外部要因が引き金となり、弱みの部分が顕在化したと言わざるをえない。
長い時間がんばれる「おむつ」
――紙おむつ「メリーズ」は中国生産から撤退します。現地でトレンドとなった薄型商品を展開する選択肢はなかったのでしょうか。
おむつで重要なのは漏れない快適性であり、メリーズでは排泄物をいかに閉じ込めるかという極限を突き詰めてきた。本来ならばメリーズこそが、お客様に愛されるべき商品だと思う。
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